販売会社は教えないマンション投資のリスク

前回は主にマンション投資のメリットについてご紹介してきましたが、今回はマンション投資のリスクについてご紹介したいと思います。

 

私たちが賃貸管理を行っている中で思うことですが

マンション経営で1番重要なもの・・・

それは『自覚』です。

なぜ『自覚』が重要なのかのご理解為にも、マンション投資のリスクについて知ることが必要です。

 

まず、マンション投資をスタートした方々はマンションを購入したわけですが、同時にリスクも購入したことになります。

ですから、マンション投資を成功させるには、リスクをどう対処するかが大切になってきます。

 

マンション投資は他の金融商品にくらべ変動が少なく、安定した収入が得られるので、所有している実感が無いという方もいらっしゃいます。

しかし、マンション投資を行っている以上、ご自身がマンションの『経営者』だという事を忘れてはいけません。

月々の負担が少ないから・・・。

税金が節約できるから・・・。

などといった、部分的なところだけに注目するのではなく、長期的な投資姿勢が必要です。

マンション投資は購入した後は放っておいても家賃収入がローンを勝手に減らしてくれるものではなく、販売した会社や営業マンが皆さんのリスクを背負ってくれる訳でもありません。

マンション投資を始めた以上、常にリスクと隣り合わせになるのです。

少し大げさに聞こえるかもしれませんが、投資である以上、きちんとマンション投資特有のリスクを把握し、対処方法を知っておく必要があります。

 

それでは、マンション投資のリスクについて、是非知っておいていただきたいポイントをご紹介しましょう。

 

1.金利変動リスク

マンション投資を行う際、多くの方が銀行やノンバンクのローンを使いますが、ご自宅の住宅ローンと違うのはマンション経営のローンは全てと言っていいほど変動金利になります。

金利変動リスクを知るうえで、変動金利の種類と性質を知る必要があります。

 

◆変動金利の種類

変動金利には長期プライムレート連動型(長プラ連動)と短期プライムレート連動型(短プラ連動)の2種類があり、基準になる金利が違います。

どちらも金融機関が優良企業に貸し出しする際の『最優遇金利』の事ですが、一般的に貸付期間が1年以内を短期、1年以上を長期としています。

長プラ連動金利は、金融自由化前まで、国債や長銀の5年物、10年物の利付け金融債の発行利回りを基準としていました。国債価格が上がれば金利(国債購入利回り)は下がり、逆の場合は下がる関係でした。

しかし、金融自由化により各金融機関が自由に金利を決めることができるようになって以来、短期プライムレートに一定の利率を乗せたものが一般的となっています。

現在では、新長期プライムレートと呼ばれています。

 

次に短プラ連動金利の場合ですが、以前は公定歩合に連動していましたが、こちらも金融自由化により各金融機関が自由に金利を設定するようになりました。

短プラ連動の基準金利は、一般的に中央銀行(日本銀行)の金融機関への短期(1年以内)の貸出金利に連動していますが、こちらも各金融機関の資金調達コストや、乗せ幅(金融機関の利益)により、それぞれ変わってきます。

最近の住宅ローンは、ほぼすべての銀行で短期プライムレートを基準にしています。

マンション投資で使われる住宅ローンでも、ほとんどが短プラ連動を採用していますが、借り入れの際には長短どちらに連動するのか確認した方がいいでしょう。

 

◆変動金利の性質

現在では長期プライムレートの基にもなっている短期プライムレートは、日銀の政策金利に影響を受ける性質があります。

しかし、日銀は経済の景況によって金利をコントロールしていますので、バブル崩壊以降のゼロ金利政策や、景気が回復していない今、変動幅は極めて少ない範囲となっています。

一般的な変動金利の住宅ローンは、5年間は支払金額が変わらず、毎月一定の金額を支払います。変動金利のローンは半年に1回金利の見直しがありますので、変動する度に支払金額の範囲内で元金と利息の割合を調整しています。

この5年間で金利が上がっていれば、5年後に毎月の支払金額は増え、下がっていれば支払金額は減ります。

もし金利が上がり続け5年後を向かえたとしても、支払い金額の見直しにはほとんどの金融機関で上限を設けています。

見直し時の上限は、現在の支払金額の1.25倍までという金融機関がほとんどです。

ただし、ローン期間終了までに元金が予定より減っていない場合、支払い最終回に一括返済するという契約になっていることが多いので、金利の知識も重要だということがご理解いただけると思います。

 

2.税制リスク

◆損益通算

現在のマンション投資では節税が大きな特徴として紹介されています。

確かに課税所得(所得税・住民税の算出の基礎になる金額)が高い場合には、マンション経営に関わる必要経費が認められていますので、損益通算(マンションの家賃収入から管理費や減価償却費、建物分の利息などの必要敬意費を差し引いた時にマイナスとなった場合、通常の所得金額から控除されること)によりそれなりの節税効果が期待できます。

しかし毎年変わる税制を考えると、今後もずっと続くという保証はありません。

平成27年からは相続税の基礎控除も大幅に変更になります。

現行の基礎控除は5,000万円から3,000円に。

法定相続人1人当たりの控除は1,000万円から600万円に。

ですから、マンション投資を行ううえでは、節税は『おまけ』として考える方が、資金計画は立てやすくなります。

 

◆譲渡所得税

マンション投資を何年も続けていると、タイミングによっては売却も一つの選択肢になってきます。

特にインフレの際には、金利や物価も上昇し、不動産価格も値上がりする傾向にありますから、ローンの残債によってはキャピタルゲイン(売却益)が見込めます。

ただし、売却時の税金には注意が必要です。

不動産の売却の際には、儲けた金額に対して税金を納めなくてはなりません。

この税金は『譲渡所得税』といい、所有期間によって掛る税率が変わります。

 

◆期間と税率

譲渡所得税は5年を境に短期譲渡と長期譲渡に分かれます。

ただし、譲渡所得税の『5年』の数え方は購入をした日から5年ではありません。

短期譲渡と長期譲渡の分かれ目は、売却した年の1月1日時点で5年を超えているかが基準となります。

例えば、マンションを2008年8月に購入し、2013年9月に売却した場合、購入をした日から5年以上が経っていますが、売却した年の1月1日を基準とすると、5年を満たしていません。ですから、翌年の1月1日が来るまでは短期譲渡所得税が適用され、税率は39%になってしまいます。

この期間を過ぎると長期譲渡所得税が適用され、税率は20%まで下がりますから、

ほんの数ヶ月で倍近く変わってきます。

 

 

◆売却時の儲けとは

譲渡所得の計算は収入金額から取得費と譲渡費用を控除して求めます。

取得費は購入代金、登記費用、印紙代、不動産取得税などを含めて計算します。

ただし、建物部分は購入から売却までの期間、減価償却費相当額を計算して除かなくてはなりません。

ですから、売却時に税金を納めるケースは下記のようになります。

 

取得費(土地代+建物代-減価償却分)-仲介手数料 < 売却価格

 

このように売却時に納税となることも少なくありません。

売却した際は必ず確定申告をする必要がありますので、納税の場合に申告をしないと延滞税などの余計な出費が発生してしまいます。

 

3.空室リスク

マンション投資の中で賃貸の空室は運用効率の悪化を招き、ローンを利用している場合は支払いを自己資金で賄わなければなりません。

空室は需要と供給のバランスや競合する物件との賃貸条件が関係しているので、

空室リスクを減らすには、入居者の視点で周辺環境や間取りも考慮して物件を選ぶ必要があります。

出来るだけ多くの入居者に好感を持たれるように駅からの距離や、物件のグレード、部屋の間取りなどの総合的な判断が重要です。

1棟のマンションでも間取りは様々ですから、生活動線や使い勝手も考える必要があるのです。

また、法人契約の多いエリアでは企業の業績にも影響を受けます。

業績の悪化は企業の福利厚生にも影響しますので、従業員への住宅補助が減額になれば、おのずと個人での負担が増える事となります。

当然、業績の悪化は従業員への給与やボーナスにも影響が出ますので、個人も負担を減らすよう、今より安い賃料の物件へ引っ越すケースもあります。

 

4.家賃下落リスク

マンション投資を行っていると必ず入居者の入れ替わりがあります。

家賃相場には幅がありますので、高い相場で募集するのか、低い相場で募集するのかによって、家賃も変わってきます。

仮に今現在の家賃が相場より高い設定をしている場合は、入れ替わり時に家賃が下がる事がありますし、低い場合は更新時や、次回の募集時に上がることもあります。

マンションの同じ階でも、募集次期や間取りによって家賃も違うのです。

また、近隣に競合するマンションが建設されると、やはり周辺家賃相場にも影響が出てきます。家賃相場は、常に新しいマンションの賃料が基準になっていますので、新築マンションや、築浅のマンションの賃料には目を光らせておく必要があるのです。

新築時や2月~3月の賃貸の繁忙期には高めの家賃で募集すること多くあります。

新築マンションの場合は、『新築プレミアム』とでも言いましょうか、多少高くても入居者は借りますし、賃貸の繁忙期である2月~3月の移動シーズンは、立地条件の良いマンションには申し込みが集中しますから、賃貸付けも容易になります。

ただし、高めの家賃が付いていたとしても退去は年間を通じてありますので、繁忙期以外では入居の入れ替わり時に賃料が下がる事があります。

特に1階の下落幅は大きく、5,000円以上下がることも珍しくありません。

理由としては、1階はセキュリティの面から女性が敬遠しがちになりますので、全体的な需要数が少なくなってしまいます。

また、最近ではインターネットの各種ポータルサイトで部屋探しをする方が増えていますが、ほとんどのポータルサイトで『条件検索』ができるようになっています。

その際、【2階以上】という項目が有りますので、その時点で検索から弾かれてしまうのです。

 

5.修繕リスク

長期的なマンション投資では修繕計画も大変重要です。

特に建物が適切な管理状態であれば、マンションの劣化を最小限に抑えることが出来ますし、良好な状態が保てます。

逆に管理状態が悪い場合は、思わぬ出費が発生してしまいます。

設備に関しては入居者の利用頻度によっても変わってきますので一概には言えませんが、エアコンやシャワートイレなどは電化製品ですから、修理が必要になることもあります。場合によっては交換したほうが安い時もありますので、状況によって対応する必要があります。

また、最近のマンションは長期修繕計画のもと、毎月一定の修繕費を積み立てていますので、定期的な点検や設備の交換もきちんと行われているマンションも多くなっています。

新築の投資用マンションでもファミリーマンション同様、購入時の修繕積立金は低めになっており、数年ごとに少しずつ上がって行くのが一般的です。

これは、購入時には頭金や諸費用などの費用負担が有りますので、当初の負担を少なくする為、ほとんどのマンションがこの方式を採用しています。

先々の修繕のことも考えて余裕を持った資金計画をする必要があります。

マンション投資では、確定申告で戻ってきた税金や更新料収入がありますから、将来のためにストックしておくことをお勧めいたします。

 

さて、次回は・・・

マンション投資の物件選びについてご紹介したいと思います。

 

 

ではまた。。。

 

 

 

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