一般的に賃貸管理業は不動産屋さんがやっているイメージがあるでしょう。
私たちも不動産免許を持って賃貸管理業務を行っています。
でも、『賃貸管理業』単体でいうと、不動産業のように『免許』は必要ないのです。
意外かも知れませんが、法律上では賃貸管理業は誰でもできる業種だということです。
不動産業は宅地建物取引業という国土交通大臣または都道府県知事の免許がないと業務を行えません。
不動産業者が何か不祥事を起こすと、免許(営業)の停止や取り消しといった処分があります。
こうしたペナルティがあるので、下手なことをすると商売ができなくなってしまいますから、
どの不動産業者も宅建業法を遵守して業務を行わなくてはなりません。
また、不動産という大きな買い物は動く金額も大きいですから、一般消費者が安心して不動産取引が行えるように、免許が必要になっているのです。
しかし賃貸管理業務は・・・
敷金の預かりや退去後の清算も賃貸管理の業務なわけですが、こうしたお金にかかわる業務があるのに免許がいらない。
トラブルが起きても監督官庁が無いので、ペナルティもありません。
ちょっと不思議ですよね。
原状回復のガイドラインが国土交通省から出ていますが、あくまでも賃貸借契約にかかわる部分ですので、表向きは宅建業者向けということになるわけです。
国土交通省では「賃貸住宅管理業者登録制度」なる制度を始めましたが、任意の登録ですからあまり意味がないようにも思えます。
登録しているから安心だというわけではないでしょう。
この制度のいちばん重いペナルティは「登録の抹消」です。
業務停止もありません。
何か問題が起これば国土交通大臣は業者に対して
「適正な運営を確保するため必要な指導、助言及び勧告をすることができる」
と書いてあるくらいです。
今後は賃貸管理業にも免許制度が導入されるのでは?という議論もありますが、個人的にはなかなかハードルが高いのではないかと思っています。
賃貸管理業は宅地建物取引業と違い、消費者全員に関係することではないので、そこが難しい。
入居者が預けた敷金の返還義務はオーナー側にあります。
賃貸管理業者が倒産しても、入居者(消費者)はオーナーに敷金の返還を要求できるわけです。
一方、オーナーは「賃貸経営」を行う「事業者」です。
あくまでも賃貸管理業はオーナーの代理としての立場ですから、法律を作ることは一部の事業者を守るための制度にもなりかねません。
法律という国民が守るべき制度を一部の事業者に対して制定するというのは、なかなかハードルも高い気がします。
法律の決定にかんして詳しく知りませんが、もし賃貸管理業にかんする法律を作るとお金がかかるイメージがあります。
出版物や配布物なども必要でしょう。
WEBサイトも制作・運営するでしょう。
その他、監督省庁では部署を作らなければいけないでしょうし、〇〇協会なんていう天下り先が増える気もする。
なんだかんだとお金がかかるイメージです。
全く関係ない消費者からすれば、「オーナーの利益のために法律を作るのは反対だ。」という方も出てくるでしょう。
賃貸管理にかかわる「消費者」というのは賃借人です。
オーナーは「事業者」ですから該当しません。
賃借人は「借地借家法」「消費者契約法」などで守られています。
既に賃借人という「消費者」を守る法律があるのに、事業者であるオーナーをなんで守る必要があるのか?という議論も出てくるでしょう。
そう考えると、「登録制度」というのが今のところ限界なのかも知れませんね。。。
ではまた。。。