家賃保証リスクについて

アパート建築やマンション建築、投資用マンションを購入する際に販売会社が行う『家賃保証』。多くの賃貸管理会社でも集金代行と家賃保証の2つのプランを用意しています。しかし、この家賃保証に実は大きな落とし穴がある事になかなか気付いていないのが現状のようです。

アパート経営、マンション経営では『○○年一括借り上げ保証』などを謳い文句に、地主さんや投資家へ賃貸経営の勧誘がおこなわれています。ずっと家賃保証してくれるんだから安心だ。そう思う方も多いのではないでしょうか。一括借り上げ保証というのは、ある一定の掛け率で長期的に賃料を保証するという制度。しかしここが問題なんです。

この契約書、『ずっと同じ賃料で』とは契約書に書いてないんですね。実は『○年ごとに賃料の見直しを行う』と書いてあるものがほとんど。要するに○年後に賃料の見直しを行い、もし空室が多かったり周りの賃料が下がっているのであれば、あなたにお支払いする賃料も下がりますよ。ということ。

アパート建築やマンション建築が全部そうだとは言っていません。ただし多くのアパート建築、マンション建築業者は、オーナーに物件を引き渡した時点で大きな儲けが出ているので、数年間の家賃保証は、たとえ空室が多くて損をしてでも充分な利益が残るようになっています。

そもそも一定の掛け目で家賃保証していますから、オーナーから安く部屋を借りている分、ちょっとした損はその範囲で吸収できてしまうんです。例えば1棟で30戸のアパート、マンションの家賃保証が80%だとしたら、月に6戸が空室でも損はしないんです。

具体的な金額を示すと…
ひと部屋70,000円平均の場合の満室時賃料総額=2,100,000円
家賃保証率80%=1,680,000円
差額=420,000円
ひと部屋70,000円ですから、420,000円÷70,000円=6(部屋)
ということになります。

礼金や更新料があれば、それは家賃保証をしている販売会社や、系列の管理会社の収益となります。こうした事情を知らずにアパートを建築するのはやはり一定のリスクがあると言えるでしょう。実際に社員のお父さんが以前から地方でアパート経営を行っており、当初契約していた賃料から大幅に保証家賃を下げられた例があります。


投資用マンションでは

では投資用マンションではどうでしょう? 投資用マンションも賃貸管理委託と家賃保証制度があり、本来はどちらも選べるようになっています。

しかし、要注意なのは新築の投資用マンション。デベロッパーは提携している金融機関へ『設定賃料』なるものを提出し、住宅ローンの評価を出してもらいます。この評価は年間の賃料収入から逆算する『利回り』で決定されることがほとんど。要するに年間の家賃収入が多ければ多い程、融資金額が大きくなり、販売業者は儲かるようになっているのです。

そしてここが問題です。そもそも設定賃料は適正なのか?という問題が融資する金融機関から出てくるのです。あくまでも『設定』ですから本当にその家賃が得られるかは分かりません。家賃相場は高い相場と低い相場があり、その差は5,000円程度。

そこで金融機関は条件を出します。この家賃を販売会社が保証してくれれば融資をしますよ、となるわけです。そして購入者は数年間の(1年〜5年程度)家賃保証をしてもらえることに安心して、購入を決断します。しかし相場賃料より5,000円高い賃料で収支プランを提示され、それを鵜呑みにしては大変危険です。

なぜこのような販売が行われるか? 例えば金融機関の評価する上での利回りはだいたい5%前後。販売業者は5,000円高い賃料設定をすれば1,200,000円多く儲かるのです。年間60,000の差と思うかもしれませんが、60,000円÷利回り5%で1,200,000円も変わってくるのです。

では賃料保証期間が終わったらどうでしょう? いま現在借りている賃料へ切り替わります。このときにはじめて賃料が下がっている事に気付くのです。

ここで考えてみてください。年間60,000円高く借上げ保証をしてくれていた販売業者の負担はどうでしょう?
長くみて5年間の借上げであれば60,000円×5年=300,000円
60,000円高くして借りたおかげで得られた販売時の利益1,200,000円

もうおわかりですね。
1,200,000円‐300,000万円=900,000円
販売会社は初めに少しの損をすれば、余計に儲かるようになっているのです。しかも礼金や更新料は販売会社やその系列会社に入りますから、実際はもっと儲かるのです。

次に家賃保証で掛け目が入るパターン。私たちが集金代行に一本化しているのは、この家賃保証制度には大きなからくりがあるからです。

よく目にするのは『当社査定(設定)賃料の90%(95%)を保証』
『入居者の保証会社加入が必須条件』ほとんどがこの2パターン。

以前は弊社でも査定賃料という記載の仕方を行っていました。しかし、当社査定賃料というのは、いったいどんな基準なのでしょう?結論から申し上げると、決まった基準などないのです。すべては業者のさじ加減。

たとえ今の賃料が90,000円だとしても、業者に『査定したら85,000円でした』と言われれば、85,000円の90%(95%)となるのです。今の賃料よりも10,000円前後低い賃料での家賃保証要となるのです。

はっきり言いますが、10,000円も家賃を下げればほとんどの賃貸物件で賃借人は付きます。こうした家賃保証制度は、賃貸管理業者が損をしないようになっているのです。そして入居者が保証会社に加入することが必須という条件も、保証会社を使って賃貸管理業者がリスクを回避しているのです。


サブリース

家賃保証の契約で目にするサブリース契約。これは、一定の賃料で一括借り上げする業者があり、業者はさらに高い賃料で部屋を貸し出します。この部屋を借りるのは主に水商売や、風俗などで正規の賃貸借契約を結んでもらえない方。収入はあるので少し高くても借りてくれます。

ただし… やはりこういう入居者は延滞や滞納、夜逃げなど、当たりまえのようにします。

そしてもう一つ問題があります。オーナーにサブリース会社から直接家賃が入金されますが、このサブリース会社の倒産が多いこと。

オーナーはサブリース会社と入居者との契約書を持っていないので、いつから賃料いくらで誰が住んでいるのかもわからない状態になります。部屋の鍵も家主は持っていないので、長期に渡り賃料が入ってこなくなります。

地方にいるオーナーは簡単に上京することも出来ないでしょうから、私たちのような管理会社へ頼ってきます。そして物件を訪ねてみると夜逃げしているケースがほとんど。 荷物は山のように残り、電気もガスも止まっている。そして新たに入居者を募集するまでに、残置物を処分したり内装を自費でやり直したりと、莫大な費用がかかる。こうしたことも家賃保証リスクに他なりません。