賃貸管理会社の倒産リスクについて
まず最初に、管理会社は極めて倒産リスクの低い業種です。
理由は管理手数料が安定していること。販売などと違い好不況に関係なく収入があるため、景気に左右されません。また大きな設備投資の必要がないため、銀行借り入れをするケースはほとんどありません。
また人件費のロスがないこと。管理会社は管理戸数が増えてから人を増やせばいいため、事業計画が立てやすく、効率的な経営が可能です。
にもかかわらず管理会社が倒産する理由
ほとんどの理由は、本業以外にあります。
一つ目、管理以外の事業に手を出す。
よくあるのは不動産開発(住宅分譲やゴルフ場開発)のために多額の資金を借り入れたものの、思った通りに販売が進まず資金ショートを起こして倒産。
二つ目は、親会社の赤字。親会社が販売会社の場合、土地の仕入れ費用や建築費などを銀行からの借り入れに頼ります。しかし、一定の期限が来ると必ず返済しなくてはなりません。
一般的には青田売り(完成前に販売し資金回収)にて回収できたお金で建築会社への支払いや銀行への返済を行います。販売期間中も利息の支払いや販売管理費(人件費、宣伝広告費、営業経費など)には多額の費用がかかるため、販売不振になると在庫を抱えてしまいます。その場合予定していたお金が入って来ませんから銀行への支払いが難しくなり、管理会社の収入が穴埋めに使われてしまうというケースも珍しくありません。
プロジェクトは年間にいくつも動いていますから、このような状態が続けば当然ながら倒産に追い込まれてしまいます。親会社が完成在庫を抱えている場合には注意が必要です。
管理会社が重要な理由
入居者が付かなければマンション経営・アパート経営は成り立ちません。
ですから賃貸管理を委託する会社はとても重要になります。優良な管理会社は賃借人を付けるための努力を欠かしませんし、ご入居者にも不快な思いをさせません。
空室が続きそうな場合には身銭を切ってでも広告や募集活動をしてくれるでしょう。当然ながら営業力は必須です。仲介会社への営業活動はもちろん、入居者との家賃交渉や退去時の敷金の清算など、ご契約者様が納得できる説明をするのも営業力に他なりません。
最近では入居者から預かっている敷金まで流用され、家賃が遅れるなどのトラブルも出てきています。貸す側、借りる側、両者の視点で動いてくれる管理会社を選びましょう。
管理会社が倒産したら
多くの場合、倒産する前に家賃が遅れるなどの兆候がありますので、遅れている場合はすぐに行動することが肝心です。入居者からの家賃がきちんと入っていても親会社の資金繰りや、家賃保証のマイナス分の穴埋めに使われてしまっている場合、家主さんへの送金は遅れてしまします。
このような場合、管理会社変更は早急にやらないと、結果として家賃回収の遅れを招いてしまいます。入居者情報がお手元にあるか確認してください。連絡先が分かる場合は、直接入居者へ連絡を取り、振込先を変更する経緯を説明しましょう。
ない場合は管理会社へ連絡し、すぐに取り寄せる必要があります。いろいろな理由をつけて家主さんに入居者情報を渡すのを嫌がる管理会社も多いですから、そういった場合は入手までに相当な時間を使ってしまいますので、回収も遅れてしまいます。
また、すでに管理会社が倒産してしまった場合、直接入居者へ連絡を取らなければなりません。その際、自分が部屋の持ち主だということを証明しなくては、入居者も信じてくれませんので、賃貸借契約書や登記簿謄本も合わせて用意する必要があります。
振込先を変更する経緯の説明、振り込み口座、連絡先を記載した書面を入居者へ送付します。(名前は賃貸借契約書に記載してあります)その他、入居者情報の再提出をお願いする旨を記載した書面と、本人を証明する資料として賃貸借契約書と登記簿謄本の写しを同封しましょう。場合によっては身分証明証も必要となります。
できるだけ早く入居者と連絡を取るようにすることが家賃未回収を防ぐ一番の対策です。賃貸借契約書がない方、遠方に住んでいたり仕事上なかなかご自身で動くことが難しい家主さんは、手続きに慣れた管理会社へ依頼することをおお薦めいたします。